2025.08.25
40歳から始める職場の転倒対策
最近、職場での転倒事故が増えています。東京労働局の調査によれば、休業4日以上の労働災害の約3割が転倒によるものでした。ヒトの筋肉量は30歳以降年間1%くらいの割合で減少していき、40歳代からは加齢に伴う身体機能の低下が徐々に始まるとされており、筋力低下やバランス感覚の衰え、視力の変化が転倒のリスクを高めます。フレイルとは、加齢によって心身の機能が低下し、外部の変化に対応しにくくなる状態であり、早めの対策が重要です。「まだ大丈夫」と思っていても、身体機能の衰えは思ったより早く始まります。
◆職場環境と日常業務の見直しによる転倒対策
転倒災害は予防できる事故です。まずは通路の整理整頓、適切な照明、滑りやすい床面の改善など、基本的な安全対策を徹底しましょう。4S(整理・整頓・清掃・清潔)活動や危険の見える化、危険予知(KY)活動を取り入れ、従業員全員が危険箇所を把握しやすくすることも効果的です。
◆身体機能維持への日常的な取組み
転倒防止には個人の身体機能維持も不可欠です。厚生労働省は年齢に関わらず筋力トレーニングやストレッチの実施を推奨しています。朝礼や業務の合間に簡単な体操や柔軟運動を取り入れる、意識的に階段を使うようにするといった対策で、転倒リスクを大きく減らすことが可能です。定期健康診断で視力やバランス機能の変化を定期的にチェックし、必要な対応を行いましょう。
40歳を過ぎたら早めの対策を心がけることが、安全確保につながります。高齢化が進む中、従業員の年齢に合わせた安全対策は、健康維持や生産性向上にも直結する重要な経営課題です。今一度、職場の安全衛生管理を見直してみませんか。
外免切替手続、見直しへ
警察庁は、外国運転免許から日本の免許への切替(外免切替)手続について、審査基準の厳格化を進めています。これは、基本的な交通ルールを理解しないまま免許を取得した外国人による事故が発生していることを受けた対応です。令和7年10月1日からの施行をめざし、準備が進められています。
◆主な見直し内容
今回の見直しでは、以下の点が主に変更されます。
① 住所確認の厳格化
これまで観光目的など短期滞在者でも免許取得が可能でしたが、今後は申請者の国籍にかかわらず、原則として住民票の写しの添付が求められます。これにより、観光等の短期滞在の在留資格者は免許取得ができなくなります(例外的な場合を除く)。
② 知識・技能確認の厳格化
従来はイラスト問題10問で70%以上の正答率が合格基準でしたが、今後は筆記試験50問に増加し、正答率90%以上が求められます。また、技能確認では横断歩道の通過や合図不履行など、より実践的な運転技術の評価が導入されます。
これらの改正は、交通安全の確保と制度の信頼性向上を目的としています。企業においては、運送業や建設業を中心に、外国人従業員が運転業務に関わる場合に大きな影響を受けることになりそうです。免許取得の要件や手続きの変更点を事前に確認し、適切な対応を図ることが重要です。
「資格確認書」とは
令和6年12月2日以降、従来の健康保険証が新たに発行されなくなり、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行しています。
しかしながら、令和7年5月のマイナ保険証を利用した人の割合は43.1%(推計値)と半数に届かず、マイナ保険証の利用登録解除を申請する人もいる(6月の受付件数は12,263件)ため、マイナ保険証を保有していない人(マイナカードの電子証明書の有効期限切れの人も含む)すべてに、従来の健康保険証の有効期限内に「資格確認書」が申請によらず無償で交付されます。
この資格確認書は、マイナ保険証を使わずに医療機関等で保険診療を受けるために必要となる書面です。
◆送付対象者の自宅へ送付
協会けんぽでは、令和7年7月下旬より順次、令和7年12月2日以降にマイナ保険証にて保険診療が受けられない人の資格確認書を、被保険者の自宅へと送付しています。
また、送付対象者がいる事業所に対して、送付対象者が掲載された一覧表を送付しています。
◆対象者宅に届かなかった場合は会社宛に送付
協会けんぽの発送した資格確認書が、被保険者の転居等により宛先不明となって届かない場合もあることから、その場合は会社宛に送付するとされており、届いた場合は速やかに本人に配付してほしいとされています。
なお、これらの対応は令和7年4月30日時点の情報に基づき行われているため、既に退職等により資格喪失している人について、一覧表に掲載されていたり資格確認書が届いたりする可能性があります。
令和7年度地域別最低賃金額改定の目安が公表されました
◆全国加重平均は1,118円、上昇額は過去最高
10月の改定に向けて議論されている最低賃金について、令和7年8月4日に開催された第71回中央最低賃金審議会で、今年度の地域別最低賃金額改定の目安について答申が取りまとめられ、公表されました。
目安通りに各都道府県で引上げが行われた場合の全国加重平均は1,118円で、全国加重平均の上昇額は63円(昨年度は51円)となります。これは昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額となり、引上げ率は6.0%(昨年度は5.1%)となります。
◆全都道府県で1,000円超えに
今後は、この目安を参考に、各地方最低賃金審議会で、地域における賃金実態調査や参考人の意見等も踏まえた調査審議のうえ、答申が行われ、各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定することとなります。今年度は、この目安通りに引上げが行われれば、すべての都道府県で最低賃金が1,000円を超えることになります。
◆賃上げへの対応を
政府は、最低賃金を2020年代に全国平均で1,500円にするという目標を掲げており、近年、最低賃金については大幅な引上げが実施されているところです。
企業が賃上げを実施できるような環境づくりのため、生産性向上の支援として、各種の助成金等の拡充や、経営支援の強化が見込まれます。企業においては、このような国の支援策も確認しつつ、今後も続く賃上げの波に向けて、自社における影響やその対策については十分に検討していきたいところです。
お気軽にお問い合わせください
受付時間:9:00~17:30 定休日:土日祝祭日